俺のこと好き?
***
「好きですよ」
「どれくらい?」
「そうですねぇ……」
あ、今苦笑した。
だってしょうがないだろ、気になったらどうしても知りたくなったんだ。
『俺のこと好き?』
鳴呼、またこの子供は可愛らしいことを言ってくる。
これ以上私を夢中にさせて、どうするつもりなんですか?
「例えば」
「例えば?」
あ、笑った。
俺、この笑顔好きだなー……ほら、心臓が煩いんだ…。
「これくらいですね」
コーヒーがたっぷり注がれたマグカップを手に持って見せてみれば、翡翠の双眸が不思議そうな煌きを放つ。
その色も好きですけれど、もっと好きなものがありますよ。
「コーヒー?」
「このカップは、私の心の器です」
ジェイドの持っている白いカップ。その中にはコーヒーがたっぷりと注がれている。
これがジェイドの心の器?
「コップが器なら、コーヒーは?」
「何だと思いますか?」
早く気づいてください。
「んー………」
たくさん注がれているコーヒー。
ゆらゆら、揺れて。
ジェイドが、俺を、好きだという。
「このコーヒーの分だけ、貴方が好きです。ルーク」
「……っ…!!」
見開かれて、感情に併せて、揺れる、翡翠色。
鳴呼、なんて愛しい、愛しい、貴方。
「好きです。愛していますよ、ルーク」
「……ずるい……っ…」
ずるいずるいずるい。
でも。
そんなところも。
「貴方は?」
「………」
「ルーク、聞かせてください」
ほら、視線を逸らさないで。
その瞳には私だけを。
「……っこのくらいだよ…!」
好きだって、口で言うのはジェイドとは違って言えないから。
だから、このキスで俺のどきどきまで移ればいいんだ。
その緋色が少しだけ見開かれて、それから嬉しそうに細められて、俺を抱きしめてくる、温かくて安心する腕。
こんなにもこんなにも。
大好きだってこと。
2006.10.29 master@mio
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